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2009年6月27日福島県会津若松市にある末廣酒造の「嘉永蔵」において福田進一さんのリサイタルが行なわれました。会場はまさに老舗の造り酒屋の蔵。以前には大萩康司さんもここで演奏しました。その折に大萩さんの先生である福田さんをぜひ呼びたいという事で実現したそうです。私も久しぶりの福田さんとの再会とコンサートを聴きたくて郡山市から約1時間30かけて行って来ました。 午後3時30分からの開演という事もありましたがともかく蒸せかえるような暑さの中でのコンサートでした。クーラーはありましたが福田さんからギターの微妙な音色の素晴らしさを味わって欲しい〜特に前半のトーレス(1884作)〜という希望もあったと思いますが、騒音を嫌って演奏中はクーラーを止めていました。さて、そんな中、久しぶりに聴いた演奏はまさに最高のパフォーマンス! 福田ワールドを心から楽しむ事が出来ました。 第一部は名器トーレス(使用弦は多分アクィーラ・アルケミアというガット弦に近い素材を使用したものでしょうか?)を使用し、今年没後100年という事もありF.タルレガの作品を演奏。曲ごとの解説もとても興味深いものでした。初めのヴェルディの「椿姫による幻想曲」では作曲者をアルカス作としていました。タルレガは自分の曲に名前を入れなかった習慣があったそうで誤解が結構あったそうです。また、メロディー等もいろいろな作曲家から引用しているのも多いと話していました。前半で特に印象に残ったのは「タールベルグによる演奏会用練習曲」なんでもこのタールベルグという人は当時リストと並び称されるほどのピアニストだったらしく、両ファン同士の争いもあったそうです(本当に福田さんの話は面白く、上手に曲に対する興味を持たせてくれます。さすがに関西人のサービス魂でしょうか・・失礼)。確かに演奏はリスキーな音列のオンパレード、更にトレモロに入ってからも目まぐるしく展開する。この曲を表現するのはかなりの技術が必要な事が分かります。さすがにオヤット思わせる所もありましたが(これも福田さんならではの高度な演出かも知れませんが・・)曲の持ち味を見事に表現する集中力と高い技術には圧倒させられました。他にもフォルテア編の「グランホタ」も初めて聴く版でしたがやはり福田さんの洒脱な表現力に圧倒されました。「アラビア風奇想曲」の高音部などでトーレスによるその時代の音色を実感出来たのも収穫でした。 後半は桜井正毅RFモデルを使用。音色はもとより、音量、音の伸び具合(特に低音)等、なるほどと思わせるほど前半のトーレスとの違いが感じられました。おもむろに弾きはじめたヴィラ・ロボス「前奏曲No.3 No.1」やはり楽器が良く鳴る。ロドリーゴ「祈りと踊り」は福田さんが1981年のパリコンで演奏した曲。私もNHK FMの番組でその時の録音を聴きました。他にプレトリウスの「3つの舞曲」とバッハの「チェロ組曲第6番」より3曲だったでしょうか。実に瑞々しいスケールの大きな演奏だった事を記憶しています。今回の演奏も一音一音細心にして大胆、確信に満ちた演奏でした。バークリーの「ソナチネ」における新感覚の鋭い洞察力。テデスコの「悪魔の奇想曲」での圧倒的なテクニックには脱帽でした。まるで蒸し風呂に入ったようなステージでありながら、軽妙な解説付?そしてアンコールも3曲のサービス。現在が絶好調と語る福田さんの姿勢には現在の日本ギター界での存在の大きさを再認識させられました。 |
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左側のポスターには〜チケット完売〜のはり紙がありました。 |
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利き酒コーナーやお酒の販売を行なっています。 |
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ギターを愛用している門下生が揃っていたので思わず記念写真!美しい御夫人 に囲まれたせいか、御満悦の桜井先生でした。(決してお酒を召し上がったせい ではありません・・・) |
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ヴェルディ「椿姫」による幻想曲 タールベルグの主題による演奏会用エチュード アラビア風奇想曲 アルハンブラの思い出 グラン・ホタ Part2●近現代のギター音楽 ヴィラ=ロボス:2つの前奏曲 ロドリーゴ:祈りと踊り(ファリャ讃歌) バークレー:ソナティナ 作品52 カステルヌオーヴォ=テデスコ 悪魔の奇想曲(パガニーニ讃歌)作品85
エストレリータ(ポンセ) ショーロス第1番(ヴィラ・ロボス) パラグアイ舞曲第1番(バリオス)
アントニオ・デ・トーレス/ラ・エンペラトリス(女帝/1884, スペイン) 元祖クラシック・ギター! その美音で人々を魅了し続ける、究極の銘器 名手フェデリコ・カーノの遺品として伝えられた逸品です。 桜井正毅 モデルマエストロ-RF(2009, 日本) 現代の匠が生んだ日本が誇る世界の銘器、最新作 |